不妊のカップルが増えてきた背景を探るには

50年前と現在の日本の妊娠をめぐる

環境を比較してみるとわかりやすいと思います。

 

50年前の日本では、

女性は今よりはるかに若い年齢、

10代後半から20代前半で結婚したのみならず、

結婚と同時に子どもをつくることが

当然のことだったように思えます。

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女性が若いわけですから、

卵子のエイジングということは、

ほとんど問題になりませんでした。

 

そして、

続けて子どもを産んだわけですが、

妊娠している期間は、

排卵ということがありませんから、

その期間中卵巣は、

半ば休眠状態におかれます。

 

ですから、

卵巣の中には良い卵子が

たっぷりと蓄えられていたわけです。

 

したがって、

次々に子どもを産めることが

当たり前であったわけです。

 

また、50年前はカップルが

結婚前にセックスをするという婚前交渉は、

現在よりかなり少なかったと思われます。

 

すなわち、

結婚と同時に性生活が始まるわけですから、

セックスということにも

新鮮味があったのではないでしょうか。

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しかし現在では、

婚前交渉などは当たり前で、

結婚というのは法律的な通過点に過ぎない

感じにもなっています。

 

さらに私たちを取り巻く環境の

快適さということもバカにできない

要因だと思います。

 

街中ではいろいろな興味深い話を

聞くことができます。

 

ある時、

寿司屋のカウンターで

かなりお年を召した女性が、

女将さん相手に話し込んでいました。

 

そして少子化ということに話題が及ぶと、

「それは少子化にだってなるわよ。

今の若い人たちは賛沢なのよ。
楽しみが多すぎるのよれ。
私たちのころは、楽しみといったら、

お布団の中だけだったもの」

というフレーズが印象的でした。

 

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今の時代は、

無数の快適なものに囲まれて

生きているといっても過言ではありませんから、

快楽としてのセックスというものの持つ価値が、

以前とは比較にならないほど

低下してきているだろうと思います。

 

ある女性から唐突に

「なぜ不妊が増えているんですか?」

と尋ねられました。

 

私は「結婚するからです」と答えました。

すると不思議そうな顔をして、

 

「結婚すれば、子どもをつくろうとするから、

むしろ不妊にならないのではないですか?」

 

と尋ね返してきました。

そこで私は、

 

「今のカップルを取り巻く状況を考えてみてください。
今のように結婚前に

セックスをすることが当たり前のカップルにとって、

結婚はかえって鬼門になってしまうのです。
なぜなら付き合っている期間であれば、

気分で会う、会わないということもできますが、

結婚すると同じ屋根の下に住みますので、

セックスに対する新鮮さといったようなものが

色あせてしまうのです」

 

と話しました。

 

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事実、

結婚を機会に

セックスの回数が激減するというカップルを、

数多く私は見てきました。

 

こうしたことを考えると、

不妊というのはある意味、

生活習慣病的な色彩もあると思います。

 

高カロリーの食事を続けていれば、

糖代謝異常が起こり、

やがて糖尿病を発症するように、

セックスに対する惰性的な気持ちが

不妊につながってくるわけです。

 

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ですから、

不妊は性生活習慣病という

側面も強くあるのです。

 

その一方で、医学的な見地からも、

現在は妊娠しづらい環境にあるといえます。

 

まず、結婚年齢が高くなっていますから、

結婚時にすでに卵子のエイジングといった

問題に直面する女性も増えています。

 

また、初産年齢が高く、

子どもを少数しか産まない現在にあっては、

子宮内膜症、

子宮筋腫といった不妊症の原因となる病気も、

加齢とともに増加してきます。

 

さらに、妊娠の回数が少ないわけですから、

女性は毎月排卵することになります。

 

言い方を変えれば、

卵巣を酷使しているともいえるわけです。

そのため、

排卵しても

よい卵が排卵されない確率も高くなってきます。

 

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さらに、

仕事を持つ女性が多いという現実を考えれば、

今の時代は妊娠を取り巻く環境がとても厳しいと思います。

 

こうしたことを頭の中に入れながら、

今後どのように取り組んでいけばよいのかを

考えていきたいと思います。